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朝晩の冷え込みが進み、車にとってはトラブルの多い季節がやってきました。バッテリー上がり、霜による視界不良、凍結路でのスリップなど、ほんの少しの油断が大きなトラブルにつながります。本記事では、出発前にチェックしておきたい「冬支度ポイント」を項目ごとにわかりやすくまとめました。ドライバーだけでなく、業務で車を使用する企業さまにも役立つ内容です。
■ 1. バッテリー点検は最重要項目
冬は「バッテリー上がり」が発生しやすい季節です。気温が下がるとバッテリーの出力が低下し、エンジン始動に必要な電力が確保できないことがあります。近年はEV・ハイブリッド車(HV)が増えていますが、これらも12V補機バッテリーが弱ると車両の起動に支障をきたすため、要注意です。
こんな不調、出ていませんか?
- 朝のエンジン始動が以前より鈍く感じる
- ヘッドライトの明るさが低下している
- バッテリーを3年以上交換していない
- 短距離走行が多い(充電不足になりがち)
対策
- 冬前に電圧測定を行う(整備工場やカー用品店で可)
- 症状が出ている場合は早めに交換を検討する
- 携帯型ブースター(ジャンプスターター)を車載しておくと安心
■ 2. タイヤの状態は命綱
凍結路や圧雪路ではタイヤのグリップが最も重要です。スタッドレスタイヤは溝だけでなくゴムの柔軟性が性能に直結します。オールシーズンタイヤが増えていますが、凍結や圧雪が予想される地域ではスタッドレスタイヤが有利です。
ここをチェック
- 残り溝は目安として4mm以上か
- 製造年が4年以上でゴムが硬化していないか
- 空気圧は基準値を保っているか(寒さで低下しやすい)
ワンポイント
スタッドレスタイヤを装着する場合、交換直後にホイールの汚れやナットの締め付けを確認しておくとトラブルを避けられます。長距離走行や業務利用では、月に一度の空気圧チェックが推奨されます。
■ 3. フロントガラスとワイパーは“視界確保”の要
冬は視界不良が事故の大きな要因になります。霜・凍結・撥水コーティングの劣化などにより、正常な視界が確保できないケースが増えています。
ここをチェック
- ワイパーゴムにひび割れや切れがないか
- 拭き取りに筋残りがないか(ワイパー性能)
- 撥水コーティングのムラやギラつきがないか
- ウォッシャー液は凍結防止タイプか
注意
朝の霜を溶かすために熱湯をかけるのはNGです。ガラスの急激な温度変化で破損するおそれがあります。解氷スプレーやスクレーパー、車両のデフロスターを活用してください。
■ 4. エンジンオイルと冷却水(LLC)の冬対応
冬場の冷間始動はエンジンにとって負担がかかります。近年の低粘度オイルの普及により、寒冷時の粘度不足での摩耗リスクが指摘される場合があります。また冷却水(LLC)は長寿命タイプでも交換時期を確認しておくことが重要です。
ここをチェック
- 冷間始動時に異音がしないか
- オイル交換が長距離で1万km以上経過していないか
- 冷却水の濃度・交換時期を整備記録で確認する
■ 5. ドアやウィンドウの凍結対策
放射冷却によってドアやロック部が凍ることがあります。無理に開けようとしてゴムパッキンを傷めたり、ドアノブを破損するおそれがあるため、予防が大切です。
予防策
- ドアパッキンにシリコーンスプレーを塗布する
- ロック部分に潤滑剤を使う
- 解氷スプレーやスクレーパーを常備する
- 窓内側の結露対策として外気導入を活用する
■ 6. 暖機運転は“しすぎない”が正解
昔は長時間の暖機運転が推奨されましたが、現行車では電子制御が進んでおり、長時間のアイドリングは燃費悪化や車内結露の原因になります。おすすめは短時間の暖機のあと、やさしく走りながらエンジンを温める方法です。
ポイント
- 始動後30秒程度待ってから走行を開始する
- 初期は急加速・急ブレーキを避ける
- 窓の曇りはデフロスターとA/Cで除去する
■ 7. 災害級寒波を見据えた“もしも”の装備
最近は突発的な豪雪や寒波で立ち往生するケースが増えています。地域を問わず、基本的な冬用装備を車内に備えておくと安心です。
おすすめの車載品
- 携帯用ジャンプスターター(ブースター)
- モバイルバッテリー(スマホ充電用)
- 毛布、携帯カイロ、軍手
- ミニスコップ、簡易チェーン(地域に応じて)
- 解氷スプレー、スクレーパー
- 飲料水・軽食、非常用ライト・反射材
特に夜間や人里離れた場所での停止は危険が伴います。停車中は車内の暖を取りつつも、燃料や二酸化炭素の蓄積に注意し、長時間のアイドリングに頼らない工夫も必要です。
■ 法人・業務車両向けのポイント:ルール化で事故リスクを低減
送迎・代行・配送など業務で車両を使う企業では、個々の注意喚起だけでなく「仕組み化」が効果的です。点検チェックリストを運用に組み込み、朝礼や日報でリスク情報を共有しましょう。
取り入れやすい運用例
- ドライバー朝礼で「今日の注意道路」を共有
- 月次でタイヤ・空気圧のチェック記録を残す
- 繁忙期はスタッドレス装着のルール化や代替ルートの設定
■ 小さな準備が大きな安心に
冬は車にとって過酷な季節ですが、事前のチェックと最低限の装備で多くのトラブルは防げます。バッテリー、タイヤ、視界、凍結対策、非常装備を順に確認しておけば、急な寒波や凍結路に落ち着いて対応できます。
安全な冬のドライブのために、ぜひ「冬支度チェックリスト」を日常点検に取り入れてください。



